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『雨の夜に』

梅雨前線が居座って、今日も東京は雨。

深夜12時。
窓の外では、地面を叩く大きな雨音がする。
くっついて建っている隣家の屋根の雨樋の一部が詰まっているようで、
そこから先に行けない水が、溢れてまっすぐ下に落ちるのだ。

昔は雨が降ると、地面を叩く雨音がこういうふうにうるさくしたものだ。
少女の頃、瓦を伝い落ちる雨が土の地面にぽしゃぽしゃと落ちてはね返り、
そこに小さな穴を穿つのを縁側に寝そべって見ているのが好きだった。
今のように、屋根のぐるりに樋を完全にまわし廻らせて、屋根に降る雨水を
一個所に集めて下水に流す、というふうになってからは、相当な吹き降りでもない限り、
二階のこの部屋にいて雨が地面にあたる音、というのはめったに聞かれなくなってしまった。

だからお隣の樋の詰まりは、実は私にはちっとも迷惑ではない。
…しかし。樋が詰まって、こういうふうに屋根の途中から滴り落ちるのは、
家の建物にとっては悪いのかな。それならば教えてさしあげねばなるまいが。

じょごじょごぴしゃぴしゃという雨音の奥で、珍しいことにこの2日間ほど
どこにいるのか、綺麗な蛙の鳴き声がする。
この近辺の川には鈴カエルがいて、夏の日没後など川べりの道を歩いていると
本当に鈴を振るような綺麗な声で鳴くのが聞かれるのだが、
今夜聞こえる蛙の声は、川ではなくもっと近く。我が家の庭の内ではないにしても
数軒の家々の近接して建ち並ぶこの界隈のどこかで鳴いているように思われる。
鈴蛙ほどの美声ではないけれど、何やらさみしさを誘うようなか細い綺麗な鳴き声である。

ああ、いいなあ………


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四畳半の部屋の内には、昨日の夜咲いた月下美人の花の匂いが、まだうっすら
残り香のようにどこかに漂っている。
月下美人は一夜花。もうとっくにしぼんでしまって、あれからもう一昼夜経つのだけれど、
そして花の終わった鉢はもう、外に出してあるのだけれど、
二輪の見事な白い花は、この部屋のどこかにその香を今も残すのである。


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妖艶な香りの大きな白い花を横においていると、何やら、自分が男になって…、
明治の頃の旦那衆の一人にでもなって、白い花と情を通じてでもいるかのような
そんな何やら艶っぽくも儚い夢を見ている気分になってくる……
わずかに残る花の香は、女の白い膚そのものから匂い立つ香りである……

一夜妻の残していったせつない香り…。

『さようなら。あなた…』

そんな優しい声も耳に残る気がする…。



さて。もう休むとするかな。

明日から。また。
ここで記事を書いていこう…。
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by eveningprimrose45 | 2014-06-12 01:21 | 日々のこと